2017年は日本の宝くじにとって激変の年となった。10月末まで販売される「ハロウィンジャンボ」を巡っても、全国の売り場で“ツキの地殻変動”が起きているようだ。
対立構図が目まぐるしく変わる総選挙の公示翌日に、「ハロウィンジャンボ」(1等・前後賞合わせて5億円=1等10本)が発売された。従来の「オータムジャンボ」が今年から名称変更でリニューアルされたのだ。
ハロウィンジャンボ誕生のほかにも、今年は「ロト6」と「ロト7」のキャリーオーバー発生時の1等最高当せん金がそれぞれ2億円増額され、新しい数字選択式宝くじ「ビンゴ5」がスタート。サマージャンボでは初めて神宮外苑花火大会で抽せん会が開催された。
「今年のジャンボ高額当せんは“リセット”をテーマに見ると面白い」と語るのは、“山ちゃん”の愛称で知られる宝くじ研究家・山口旦訓氏だ。政局や国際情勢と同様に、ツキを掴める売り場も激変しているというのだ。山ちゃんに独自の視点から注目の売り場を挙げてもらった。
◆千葉 社長が「代替わり」した途端1等7億が出た!
今年のサマージャンボで1等前後賞7億円を出した「宝くじロトハウスJR千葉駅前店」。親会社の社長が4代目に交代した直後の当せんだった。今井哲正店長が興奮気味に話す。
「社長が交代した途端に1等が出たのだから驚きますよ。系列の他の売り場でも高額当せんが出ており、4代目が福を運んでくれたんじゃないかと思っています。4代目は30年以上、宝くじの販売に携わってきた大先輩。長年の地道な努力が幸運を呼んでいるのでしょう」
◆愛知 「再開発」で開運! 移転まで日本一を守る
ジャンボ宝くじは最近、1等当せん金額の高額化に伴い気になる変化が起きている。年末ジャンボの場合は、1等が出る単位(ユニット)の枚数が増え、当せん確率が下がった。そのほかのジャンボでは2等以下の当せん金額が下がり、『億当たり』の本数が減少したため、いまは大型有名店でも超高額当せんを出し続けるのは難しい。
そんな状況で『億当たり』となるジャンボ1等を出し続けているのがJR名古屋駅前の「名駅前チャンスセンター」。昨年の年末ジャンボから今年のサマージャンボまで4連続で1等前後賞の大当たりを出している唯一の“10割バッター売り場”なのだ。井筒弘店長は「地元の白龍神社のご利益に違いない」と話す。
「昨年の年末ジャンボの発売前日に白龍神社に当せん祈願に行きました。“願い事をしながら石を持ち上げると願いがかなう”という願かけ通りに、1等前後賞を出し続けているんです」
名古屋駅前は27年のリニア中央新幹線の開業に合わせて再開発が行なわれる。
「いずれこの売り場も移転することになりますが、この場所で残りのジャンボでも1等を出し続けます」(井筒店長)
◆福岡 「世界遺産登録」で宝物の神秘をツキに
宝くじファンの間では「世界遺産に登録された地域でジャンボの高額当せんが出る」という法則が定着しているが、そこに新たな売り場が加わった。今年7月、日本で21番目の世界遺産に登録された「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の位置する福岡県宗像市の「宗像サンリブチャンスセンター」だ。
「世界遺産に正式推薦された2016年に『サマージャンボミニ』で1等7000万円が出て、2017年の世界遺産登録決定の際は『サマージャンボミニ』で再び1等1億円が出ました。
宗像には4か所の売り場があって、他の小さな売り場でも100万円以上の当たりが続出しています。沖ノ島は“海の正倉院”と呼ばれるほど宝物が多く出土しています。そんなことも関係しているのではないでしょうか」(斎藤基店長)
◆神奈川 「移転」をチャンスに高額当せん!
JR横浜駅地下街の一角にある「横浜ダイヤモンドチャンスセンター」は、2020年の東京五輪に向けた再開発に伴い3回も売り場が移転した。そのたびに高額当せんを出し、今年のドリームジャンボでも1等前後賞7億円を出している。
ツキを掴めるのはどんな売り場だろうか。山ちゃんは、運を呼び込む店には共通点があるという。
「宝くじを買いに来てくれるお客さんのためにゲン担ぎをしたり、販売員が神社に参拝したり、開運グッズを揃える。そんな努力をする売り場が運を呼ぶんです。売る側も、買う側も楽しむ。そういう売り場は繁盛し、ツキを持ったお客さんを呼び寄せます」
宝くじは当たるものではなく、当てるもの。ここに挙げたエピソードやアドバイスを参考に、変革の波に乗ってみたい。
※週刊ポスト2017年10月27日号